行ってよかった印刷博物館

一度は行かないとなぁと思いつつこれまで過ぎてしまっていましたが、JAT(日本翻訳者協会)が企画してくださったので「いまだ!」と思ってそれに乗りました。ありがとうございます。

印象に残ったところを駆け足で書きます。
最初の「かんじる」ゾーンには、レプリカで古代の印刷物が展示されている。レプリカというのは、触れるのがいいんだよね。ハンムラビ法典(「やられたらやり返せ←久松意訳(「目には目を~」で知っている方が多いと思いますが)とか、百万塔陀羅尼(世界最古の印刷物が日本に残っているってすごいよね!)とか、甲骨文字(亀の甲ではなくて腹に刻まれている)とか、特別に学芸員の方が解説してくださった。やっぱり解説があるといいなぁ~。これも委員長の人望というか人脈のなせる技で、ありがたいことである。

「わかる」ゾーンはこの博物館のメインで、モニター解説も展示物も充実している。42行聖書を初めて自分の目で見た。ルターのドイツ語訳新約聖書も。この辺はもちろん、翻訳の話にも絡んできて面白い~。

翻訳の話と言えば日本の鎖国時代。クルムス『ターヘル・アナトミア』と杉田玄白『解体新書』、ショメル『日用百科事典』、ドドネウス『草木譜』といったオランダ語からの翻訳の話もいろいろある。現物やそのゆかりの品が展示されているので、単なる説明だけではなく事実が迫力をもってせまってくる。うーんここは翻訳者なら知っておきたい話~。

編集者として面白いのは印刷技術の諸々。カメラ色分解やスキャナ色分解の説明、シアン、マゼンタ、イエローと3色の版(ブラックはなかった)が展示されていて実際に重ね合わせられるようになっていたり、オフセットとグラビア印刷の違い(ルーペで網点を見る)、昔のポスターや娯楽誌の印刷の裏話、半導体回路の印刷についての知識、各種印刷機の展示などなどなど。

「輪転」という字を見た途端、「ぴくっ!」と反応してしまったのはご愛敬(実は1年前初めて、輪転機で印刷する本に携わった、いや、文字通り単なる「手伝い」をしたのだが、何せ生まれて初めて輪転モノを作るとなって最後はプレッシャーで胃にぎりぎり来た。輪転機にかける本というのは部数がハンパないのでね)。

「つくる」コーナーでは栞を作らせてもらった~。「活字」がずらっと棚に並んでいるさまも見ることができて、これを職工が拾っていたんだなぁと想像すると、厳粛な気持ちになる。

「活字」を作る機械も見せてもらった。「字」の型に沿って人間の手でプローブをなぞっていくと、その動きが縮小されて、鉛で作られた8mmほどの角柱の面に彫られていく。この博物館で一番興味を引かれたのがこれでした。ほしい(^^;)。

そのほかカレンダーやカードを印刷したりと、いろいろ遊べるところもいい。感動のあまり、帰りにはガイドブックを買ってしまった。ありがとうございました。

By 久松紀子

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