日本翻訳者協会(JAT)のトップページ右上に、「翻訳者を探す」というタブがあるのをご存知ですか? クリックして辿り着いたページがJATディレクトリです。私は2005年にJATの会員になり、ウェブコンテンツを更新する委員会に所属していたこともあります。当時やその後に見聞きした利用法のうち、実際に私も使っているものをここでご紹介します。

右側に「翻訳者を検索する」の欄があり、いくつかの項目に記入する仕様になっています。発注者が「名前」、「専門」、「職業(翻訳者、通訳者)」、「場所(国、都道府県・州、市区町村)」、「言語(ソース言語、ターゲット言語)」を記入したり選んだりして「検索」ボタンを押すと、求めている翻訳者が表示される仕組みです。ここで「検索」ボタンの下に「JAT会員による書籍」という欄があります。クリックすると当該ページに飛ぶので、訳書がある会員はぜひ載せてもらうことをお勧めします。ちなみに私は共訳書が1冊紹介されており、訳者名からディレクトリ内の自分のページへとリンクを張ってもらっています。依頼する方法は次のとおりです。「翻訳者を探す」のページ下部中央、「よくある質問」という赤字の項目があります。ここをクリックした当該ページ最終行「お問い合わせ」をクリックすると、「お問い合わせフォーム」が開きます。「送付先を選択」の下に並んだ項目のうち「JAT会員による書籍」にチェックを入れて、メッセージを送ればよいのです。

次に、自分のページが検索でヒットするように設定します。bまずは、名前、専門、言語など、検索されたときに自分のページが表示されるかどうかを確認します。日本語、英語のどちらでも試してみましょう。自分のページを編集するときは、ログインしてから右上の「アカウント」、次にその下の「アカウント」に行き、公開したい情報を入力していきます。私は電話番号、メールアドレスなどは非公開にしています。

具体的には、私のページにはEnglishで「Translators Chiaki Yano (矢能千秋)」、日本語では「翻訳者 Chiaki Yano (矢能千秋)」と表示されています。日英・英日と両方の翻訳をしているため、ソース言語は「English, Japanese」、ターゲット言語も「English, Japanese」としてあります。専門については、私は「スピーチ、ウェブコンテンツ、印刷物、鉄道、環境分野における日英・英日翻訳」と記載し、検索キーワードとして、「鉄道、Railways、出版翻訳、book translation」と載せています。変更があったときにすぐに修正できるように分かりやすいところに記載しています。その下の各欄はかなり自由に書いていますが、日本語・英語を両方使っています。

記事掲載の欄等には、URLリンクを張って当該ページに飛ぶようにしてあります。リンクのある固有名詞は、ブラウザでは赤文字で表示されます。私は取材を受けたり自分で書いたりした記事などにはすべてリンクを張っており、若干の作業で済むのでお勧めしたい方法です。実際の原稿作成としては、Word等で入力してリンクも入れてから、クリックして遷移を確認します。その後、JATディレクトリの自分のプロフィールページにコピー&ペーストするとよいでしょう。

主要連絡先情報には、「ウェブサイト」に自分のブログのURLを入れていますが、メールアドレスは載せていません。ディレクトリのリストを見て、絨毯爆撃のように順番に打診する発注者もいるので、そうした問い合わせには対応したくないからです。実際にこのリンクからブログへ飛ぶと「ABOUT」というプロフィールページが表示されますが、このブログにも、連絡先を記載していません。けれども右下までスクロールすると、私のTwitterアカウントに辿り着きます。他の誰でもよいのではなく、このプロフィールを有する「私」に連絡を取りたいと思った方は、TwitterやFacebookを辿って、ここでやっと連絡ができるという仕組みにしました。そこまでの手間をかけて「私」という個人に連絡を取りたくなければ、途中で辿るのをやめてしまうでしょう。そうした方とはご縁がなかったのだと判断できます。とはいえ、私は既にかなりの人数の翻訳者・通訳者とSNSで繋がっています。新しい方から連絡をいただいた際にFacebookで見ると、「共通の友達」であることも多く、ここから仕事のご紹介をいただくことも増えています。そうしたときにJATディレクトリは便利な媒体で、互いにプロフィールを見て実績等を確認することができるのです。したがって、引き合いをいただいたら、ブログではなくJATディレクトリへのリンクをお送りする場合が多くあります。

営業ツールとしてJATディレクトリを利用する大きな長所のひとつに、いつでも更新できる点が挙げられます。自分のブログを持っていなかったときは、ディレクトリ内の Chiaki Yano (矢能千秋)ページのアドレスを名刺に記載していました。私のアドレスはhttps://jat.org/ja/translators/profile/4596 ですが、JAT会員であり続ける限り、アドレスが変わることはありません。末尾の4596という番号は会員番号、すなわち会員になった順番を指しますが、この番号でどのくらいJATに在籍しているかが分かります。例えば、会長の Tony Atkinson(トニー アトキンソン)さんのプロフィールページを見てみると、URL末尾の番号は3722です。JAT歴15年である自分よりも会員歴が長いことがここで分かります。翻訳業界は意外と小規模であるため、長く生き残っているというのも、取引先候補としてのひとつのバロメーターかもしれません。なお、会員歴が短いのではないかなと思った方のプロフィールを見てみたら、13000番台でした。

JATの年会費は10000円、2年分前納すれば18000円です。私はこれを、重要な営業ツールであるJATディレクトリの掲載料だと考えています。費用のことで言うと、JAT会員には、膨大な量のオンライン辞書・事典が収録されたデータベース「ジャパンナレッジ」の年会費割引を受けられる特典もあることを最後に記しておきます。JATディレクトリを営業に活用して、新規開拓に繋げていきましょう。

執筆者: 矢能千秋