6月8日に、約20名の翻訳者、通訳者、語学関係者が神戸に集まり、5月9~11日に福岡で行われたIJET-33について振り返りました。IJETに参加できなかった人の質問に対して回答する形で、IR通訳、TVドラマ『SHOGUN 将軍』の時代を踏まえた脚本翻訳、AI時代の翻訳などのセッションについて活発に議論し、JATが会員・業界のために行っているアドボケーションへの提案も行われました。最後は、登壇者のSusan Jonesさんが自身の発表のまとめで締めくくりました。

2時間のディスカッション(自己紹介が40分だったので、もう少し長くても良かったかも)の後に、ほぼ全員が懇親会に参加。クラフトビール飲み放題のレストランで会話を楽しみました。話し足りないメンバーは、2次会で喫茶店やビアホールへ。ビアホールではMIT工学博士のMikeさんによるAIの歴史の解説を通じて、AIの利点や問題点を知ることができました。

Post-IJET Gathering全体として、IJETで得た学びを参加者に共有することができました。また、今後の関西での集まりや2026年9月にオーストラリア・メルボルンで行われるIJET-34への期待が高まりました。

話題になったIJETのセッション

Keynote Speech: SHOGUN 脚本翻訳の裏側

IJETでも今回のpost-IJETでも最も盛り上がったセッションです。細やかに配慮された翻訳、修正の回数の多さ、TVや映画の制作現場を肌で知っている強み、作業に対する報酬の決め方の難しさ話題になりました。

AI in Translation: Friend or Foe?

登壇者のSusanさんが発表の中で聴衆に行った質問をまとめて振り返りとしました。また、この分野に詳しいMike FreilingさんがAIについて留意すべき点や、日本の古典詩歌の翻訳にはAIが有益な情報源になりうるという見解などを述べました。

金融翻訳/通訳パネルディスカッション

IJET不参加者から熱心な質問がありました。セッション参加者からは、登壇者2人の金融通訳・翻訳のスタイルがまったく異なること、ディールを左右する仕事に求められるスピード、人によって左右される点、文書や報告書の翻訳との速度の差、時差により翻訳が効率化できる点、AIの浸食が始まっていることなどが挙げられました。

JATとアドボカシー(提言)活動、個人翻訳者団体として何ができるのか

JATの「AIを用いた漫画の大量翻訳と海外輸出の取り組み」に関する意見書を中心に話し合いました。公式版以前に出回る海賊版による漫画出版事業への悪影響、知財権の侵害等の問題があるため、対策としてAIが使用されているものの、訳語が適切でないという問題があることも提示されました。エンタメ翻訳者からは、海賊版対策として、世界のマンガ・アニメ業界では人手翻訳の世界同時リリースが一般的になりつつあるので、AIの使用には疑問が残ると述べられました。意見書を出したのだからJATがフォローアップをする必要があるのでは、との意見から、AI翻訳の誤訳が言語別のマーケットに悪影響を与えた例などをJATがリストやデータベース化してはどうかという提案も出ました。

日英翻訳ワークショップ:翻訳作業の実況中継

セッション参加者によると、メモが取れないくらいハイペースなメディカル英訳のセッションであったものの、非常に示唆に富んでいて、勉強になったとのことです。

+αの強みで考え、拡げる通訳翻訳業

~英日+ドイツ語という三本軸から見えてくる面白さと可能性~

別のセッションの話からこのセッションが話題になりました。翻訳以外の能力や経験の活用について話しました。

多くの人が今後もKATのイベントに期待してくれていました。また、「初めまして」の人もいつも参加してくれる人も、共に楽しい時間を過ごすことができました。別の分野の翻訳者と交流することで、様々な刺激が受けられるという、うれしい感想も聞かれました。

KATでは分野・言語を問わず、関西在住の翻訳者・通訳者の懇親会やセミナーを開催しています。次は納涼会など計画中ですので、ぜひご参加ください!

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