第19回JAT翻訳コンテスト英日部門優勝者北本聖月さんへのインタビュー

日本翻訳者協会(JAT)第20回新人翻訳者コンテストが2023年10月1日に始まりました。第19回英日部門優勝者の北本聖月さんにお話を伺いましたので、今回挑戦される皆様、参考になさってください。

自己紹介をお願いします

北本聖月(きたもと みづき)と申します。フリーランスで英日・日英両方向の翻訳をして3年目となります。アメリカの大学を芸術専攻で卒業しており、アート分野の翻訳を得意としています。

今回、コンテストに応募された理由や動機は何でしょうか?

2021年の10月に、たまたまJATの翻訳コンテストをネットで見つけました。締め切りまで4日程しかありませんでしたが、試しにやってみようと思って、英日・日英部門の両方に応募してみたところ、日英部門でファイナリストに残ることができました。そして翌年、今度は入賞をしたいと思い、第19回に再挑戦してみました。

コンテストの応募にあたり、何か特別な準備をしましたか?

まずテーマを確認し、ロシアとウクライナに関する歴史について自分なりに学び直してから翻訳にあたりました。

翻訳のプロセスについてもう少し教えていただけますか?

最初に課題文に目を通し、背景知識のリサーチからスタートします。その後、文ごとに分けた状態でExcelに入れ、右側のセルに調べものやメモを残しながら原文の理解に重点を置いて翻訳します。次に日本語としての自然さに焦点をあてて推敲を重ねたあと、Wordに移動して全体を推敲・調整してから提出します。普段も、リサーチが多いものについては同様のやり方をとることが多いです。

課題文を訳していてもっとも苦労したのはどんなところでしょうか?

翻訳作業に入る前に、背景となる歴史を学び直すことが必要でした。また、コンテストでは実際の仕事のような指示はなく、申し送りや確認作業なども基本できないので、表記などについても自分で判断する必要があり、細かいポイントで最後まで悩んだ記憶があります。

ただ、おそらくコンテストの課題文はその時に話題になっているものを反映して選ばれているので、関連する情報やニュースが多く手に入り、誰にとっても興味を持って取り組みやすい内容だと思います。

このコンテストへ挑戦した経験は、翻訳者として役に立ちましたか?

はい。私は2回応募していますが、ファイナリストになると細かくフィードバックがいただける上、他のファイナリストの方や入賞者の方の訳文と比較して復習できたため、大変勉強になりました。また、ファイナリストとして名前がJATのウェブサイトに載ったあとはJATのプロフィール経由でお問い合わせをいただくことが増えましたし、英日部門で1位をいただいたことを評価していただくこともあり、お仕事の機会も広がりました。

これから応募される方へのアドバイスを聞かせてください

私はこのコンテストに挑戦して得たものが非常に大きかったので、応募して本当に良かったと思っています。翻訳の実務経験が通算で3年未満という応募条件を満たしている方であれば、どちらか一部門でも、私のように両部門でも、ぜひ挑戦していただければと思います。

最後にひと言お願いします

審査員・実行委員の方々をはじめとするコンテストの開催を支えてくださる皆さまに、この場をお借りして感謝申し上げます。そして、現在コンテストの課題に取り組んでいる皆さま、頑張ってください!

Profile

北本聖月(きたもと みづき/Mizuki Kitamoto)。宮城県出身。アート関連の日英・英日翻訳者。第19回JAT新人翻訳者コンテスト英日部門1位、JAT主催日英翻訳ワークショップeJuku(2022)の卒業生、JAT会員。趣味:美術館と、ラーメン屋めぐり。