世界を再現する
写実主義でもファンタジーでも、大衆的でも文芸的でも、フィクションとはすべて、読者の夢中になる世界を創り出すものだ。翻訳者としての我々の仕事は、作者がどのようにフィクションの世界を創り出したのか、どのような特質をその世界に与えたのか、どのようなテクニックを使用したのかを検討し、どうすればその世界を別の言語で最良に再現できるかを決定することである。我々は影の小説家にならなければならない。適切な語り口をどのように見つけるか。作品において効果を現す主な要素は何か、そして著者の表現方法で効果を現す主な要素は何か。他の単語よりも、なぜこの単語がよいのか。想像上の生物にどのように名前を付けるか。原文からの逸脱が正当だと認められるのは、あるいは必要でさえあるのはどんな時か。他の作品への言及、他の作品からの引用をどのように扱うか。会話部分はどう扱うか。脚注や巻末注を加えるのであれば、どんな時に加えるべきか。竹森ジニー氏が自身の訳書からさまざまな例を取り上げながら、こうしたトピックについて検討する。
(セミナーは英語で行われます)
【講師プロフィール】
竹森ジニー氏はこれまでに、近現代日本人作家によるフィクションの翻訳を十数冊手掛けてきた。訳書にPuppet Master(宮部みゆき著『模倣犯』)、From the Fatherland with Love(村上龍著『半島を出よ』Ralph McCarthy氏、Charles De Wolf氏との共訳)、The Isle of South Kamui and Other Stories(西村京太郎著『南神威島』)のほか、The Secret of the Blue Glass(いぬいとみこ著『木かげの家の小人たち』)とThe Whale That Fell In Love With a Submarine(野坂昭如著『戦争童話集~忘れてはイケナイ物語り~ 小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話』)の2冊の児童書がある。竹森氏が翻訳した短編小説はGranta、Words Without Bordersなどの多数のアンソロジーに収録されている。また、ビジュアル・アートや舞台芸術に関するノンフィクションにも訳書がある。講談社インターナショナルでフィクション、ノンフィクション、絵本の訳書の編集者として勤務、スペインで外国作品の著作権エージェント、スペイン語とカタロニア語のフリーランス翻訳者として活動した経験も持つ。
開催日:2015年11月21日(土)
時間: 14:00~17:00
開場: 13:30 開演:14:00
会場: フォーラム8(http://www.forum-8.co.jp/access/index.html)
所在地:東京都渋谷区道玄坂2-10-17(渋谷駅徒歩5分)
電話番号:03-3780-0008
参加費:JAT会員・・・1,000円 / 非会員・・・3,000円(事前申込不要)
交流会:セミナー後のネットワーキングディナー(定額)に参加を希望する方は、11月11日(水)[JST]までに[email protected]宛てにメールでご連絡ください。詳細は追って確定いたします。
問い合わせ:[email protected]