Interview with Jun Yamada, Vice-President, Aizu Electric Power Company

(会津電力株式会社 http://aipower.co.jp/)

As you look at the list of sponsors of PROJECT Kyoto 2015, you may be wondering: how did a power company in Tohoku come to sponsor a translation and interpretation event? We spoke to Jun Yamada, vice-president of Aizu Electric Power Company, to ask him that question. Mr. Yamada also talked about Aizu Electric’s quest for local, sustainable power in the Tohoku region and touched on his former position as president of Qualcomm Japan.

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今回、「プロジェクト京都2015」に協賛いただいた会津電力株式会社の副社長山田純氏に、次世代の再生可能エネルギー開発に向けて、設立の経緯や現在の活動、今後のミッションについて伺いました。

---------会津電力を設立する前に在籍していたクアルコム(Qualcomm)についてお聞かせください。

Qualcommはアメリカの会社で、通信技術を開発して、それを世界中の通信機器メーカーにライセンスする会社です。その技術を使ってスマートフォンを作るための半導体も提供します。Qualcommの技術はほとんどすべてのスマートフォンで使われていますから、かなりの規模のグローバルなビジネスを展開しております。

僕はQualcommが日本法人を設立した最初の段階から参加し、日本法人の社長を7年ほど務めました。3年前に現在のアメリカ人社長にバトンタッチして、自分がプライべートにやりたいことができる時間を作りました。

原発事故の被害に苦しむ、生まれ育った故郷の福島に関わりたいという思いに駆られたこともあり、会津の方々と一緒に新しい事業に取り組むべく会津電力を設立しました。現在は、Qualcomm Japanのsenior advisor(特別顧問)と会津電力の副社長の両方を務めています。

---------会津電力を発足しようと思ったきっかけは?

それはやはり原発事故です。福島にあんなにたくさんの原子力発電所があるということを僕は知らなかった。福島県の出身であったのに・・・。まさかああいうことになるとは。

それで、電気は一体どういう風に作られて、どういう風に配られているかを色々調べたら非常に興味深くて。大規模な発電所を沿岸部に作って、そこから日本全国、田舎の隅々まで送電するというシステムが行き渡ってる。だから、大きい鉄塔を作って山を越えながら電気を送っていますよね。あれはロスも大きく、随分とお金のかかることをしているなと思いました。

もっと身近なところで発電して、身近なところで使えばいいのに、何故こんな風に鉄塔を建てて、日本中の山の中を通して電気を配らなければならないのか、未だによく分からないですね。その方が安いということになっているけれど本当かな? そういうやり方ではなくて、消費地の近くで発電して使ってみれば、本来はもっと安いんじゃないか、ちょっとやってみようという気になりました。

今は太陽光発電に注力しています。ただし、今流行りの、大規模なメガソーラーを作るのではなく、“地産地消”を想定して、あえて小さな発電所を会津地域の各地に作る様にしています。積雪対策にも工夫し、今年末までには50kwクラスの発電所が40箇所以上稼働します。

太陽光発電は昼間しか発電しませんから、安定電源とするには、水力、風力などを組み合わせないといけません。もう少し設備投資をして、いつでも使える電気を作ろうとしているわけです。あるエリアを自分達が作る電気だけで賄うにはまだまだ時間がかかります。でも面白いからやってみよう、と。

--------- 原子力に依存せず、再生可能エネルギー等の普及によるエネルギー自立を目指し、独自の“仕組み”を創出しようとしているのですね。そのエネルギーを活用して、今後、どのようなことに取り組んでいきますか?

“ものづくり”に参画したいです。現在、会津電力は発電した電気を東北電力に売電をしているだけで、発電した電気を有効に利用するステージではありません。しかし、近い将来には、発電した電気で色々なプロダクツを作っていこうとしています。

既に、発電した電気を使って日本酒の蔵元でお酒を作っています。それを皮切りに、日本酒だけでなく、ビールやワインなどのアルコール類を作ってみようとしています。来年から数年かけてそういう"ものづくり"をやっていきますから、その段階では本格的な情報発信をしたいと思います。

———— 外国語でのコミュニケーションと「プロジェクト京都2015」について

会津電力には欧米のジャーナリストの方も時々来られています。その時は私も駆り出されて、通訳をしたり、事業について説明しております。今後は海外の人たちにも積極的に情報発信をしていきたいと思っています。

我々のホーム・ページはまだ日本語しかありませんので、プロフェッショナルな英語のメッセージを作ることは大事な要素です。いずれはプロの翻訳家の方に相談してみたいと思っていました。

地域社会の課題を解決するにはグローバルな視点が大変重要で、このイベントに賛同いたしました。言葉の壁を越えたコミュニケーションを行うには翻訳者や通訳者の参画が欠かせません。多くの翻訳者や通訳者が内外から集まって交流を深めることは、地域文化に触れる上でもよい機会になりますね。いつか、福島でこのようなシンポジウムが開催できればいいですね。

--------- ありがとうございました。

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[山田 純]  山田 純  会津電力株式会社 代表取締役 副社長

1974年福島高校卒業。1978年東京大学工学部卒業後、松下通信工業(株)に入社。1998年クアルコムジャパン(株)の設立に当り入社。標準化活動、新技術開発、通信事業者及び携帯端末メーカーへの技術支援などを担当。2005年3月より代表取締役社長。平2009年3月より代表取締役会長兼社長を経て、2012年5月より特別顧問。 2013年8月、会津電力(株)代表取締役副社長に就任。

取材協力/西田みゆき(i’m-media)