受賞者と最終候補者の訳文

第1位 今村絵里 (J22)

第2位 儀保 千絵佳 (J35)

ファイナリスト 篠原英幸 (J2), 山下 健之介 (J71), 中村節子(J89)

課題文はこちら

篠原英幸

中東呼吸器症候群(MERS)

2014年5月以降、米国でMERS患者は発生しておらず、米国の一般市民にとってのMERSのリスクはかなり低い状況にある。

CDC(米国疾病予防管理センター)及び関係の公衆衛生機関では、MERSの状況を引き続き注視していくこととしている。

2012年にMERSがアラビア半島で初めて発生して以来、CDCでは、人への感染及び拡散経路を含めウィルスの特性をよく理解するため、世界中の関係機関と連携してきた。

我々は、MERSコロナウィルス(MERS-CoV)が更に拡散し米国や世界中で更なる患者が発生する可能性を認識し、準備を進めているところである。(「詳細(Learn more)」を参照)

米国におけるMERS

2015年5月以来、大韓民国はMERSの発生について調査を続けている。これは、アラビア半島の外で確認されたMERSの発生としては最大規模のものである。

CDCでは米国民に対し、MERSによる大韓民国その他諸外国への渡航プラン変更を求めてはいない。(「詳細(More)」を参照)

米国ではこれまでの検査で、500人以上がMERSコロナウィルスに陰性であったが、二人だけに陽性結果が出ている(両ケースとも2014年の5月)。

2014年の5月、CDCは米国における2件のMERS感染例を確認した(1件はインディアナ、もう1件はフロリダ)。両ケースとも、サウジアラビアで居住・就業歴のある医療関係者で、感染地と見られるサウジアラビアから米国に渡航している。両者ともに米国で入院し、後に、完治後、退院した。

ウィルスを知る

中東呼吸器症候群(MERS)は、人類にとって新種のウィルス性呼吸器疾患であり、2012年にサウジアラビアで初めて報告された。

MERSを引き起こすウィルスは、中東呼吸器症候群コロナウィルス(MERS-CoV)と呼ばれている。コロナウィルスは、人が一生のうちに一度や二度は感染するような一般的なウィルスである。

ヒトコロナウィルスは、一般に中軽度の上気道疾患を引き起こすが、MERSコロナウィルスはこれまで人で発見されたあらゆるコロナウィルスと異なるものである。

MERSコロナウィスルは、アラビア半島の動物が感染源と見られている。研究者達が数か国のラクダからMERSコロナウィルスを発見しているが、我々としては、ラクダが感染源と確認するまでには至っていない。

様々な研究により、ラクダの感染が人へのMERSコロナウィルス感染について、ある種の役割を果たすらしいという証拠が次々と挙がっているが、更なる情報が必要とされる。

MERSの症状

MERSコロナウィルスでは、感染しても症状が軽度、又は、全く表れない者もいるが、熱、咳、息切れなどの重篤な呼吸器疾患を引き起こす場合が殆どである。

他に、下痢、吐き気、嘔吐など胃腸炎の症状や腎不全の発症も報告されている。

MERSでは人が死に至る場合もあり、実際に多くの人が亡くなっている。

MERSの感染拡大経路

MERSコロナウィルスは、咳などの呼吸器分泌物を介して人から人へと拡散すると考えられている。

諸外国では、感染者の介護や同居など密な接触を通じて人から人へとウィルスが広がってきた。

呼吸器疾患から身を守る

MERSコロナウィルスの感染を予防するワクチンは今のところない。

CDCでは、以下の取組みによって呼吸器疾患から身を守るよう、米国民に対し定期的な呼びかけを行っている。

・頻繁に手洗いをすること

・病気にかかった人との濃密な接触を避けること

・手を洗わずに目、鼻、口を触らないこと、さらには

・人が頻繁に触れるものを消毒すること

MERSと渡航

CDCでは、マーズを理由に渡航プランを変更するよう求めてはいない。

CDCが現在発するアラビア半島及び周辺国への渡航注意喚起は警戒レベル2で、これは、渡航者に特別な警戒を促すものである。

MERSの感染拡大は医療現場で発生したことから、本警告では、アラビア半島及び周辺国で医療サービスに従事する渡航者に対し、感染や感染が疑われる者に関しCDCが推薦する感染予防措置を実践し、自身の健康状況観察を促している。

他の目的で当該地域へ渡航する者に対しては、手洗い、病気の人との濃厚接触の回避など、一般的な予防措置の励行を呼びかけている。

(「アラビア半島におけるMERS(MERS in the Arabian Peninsula)」を参照)

また、CDCでは、大韓民国への渡航者に対し注意レベル1を発し、一般的な予防措置の実践を呼びかけている。

詳細については、「大韓民国におけるMERS(MERS in the Republic of Korea)」を参照。

国毎の発症と死亡者については、「世界保健機関(World Health Organization(WHO))」を参照。

更なる詳細は、「米国におけるMERSについて(about MERS in the U.S.)」を参照。

 山下 健之介

中東呼吸器症候群(MERS)

2014年5月以来、米国でのMERSの症例はない。米国における一般市民へのMERSの危険性は依然として大変低いままである。米疾病予防管理センター(CDC)及び他の公衆衛生機関は、MERSの状況を注意深く監視し続けている。

2012年にアラビア半島でMERSが初めて出現して以来、例えばどのような症状を人々にもたらすのか、ならびにどのように広まるのかなどのウイルスの性質をより理解するために、CDCは国際的機関と協働している。MERSコロナウイルスがさらに広まり、米国内・世界中でより多くの症例を引き起こすという可能性についてCDCは認識しており、予防手段を講じている。更に詳しい情報はこちら。

米国でのMERS

2015年5月から、大韓民国はMERSの発生について調査している。これはアラビア半島の外において確認されたMERSの発生としては最大である。

CDCは、米国人に対して、MERSを理由として大韓民国または他の国々への渡航計画を変更するように勧告しているわけではない。詳しい情報はこちら。

MERSコロナウイルスへの感染に対する検査結果が陽性であったのは米国内で僅かに2名のみであり、いずれも2014年5月のことであった。一方で、500名を超える人々が検査を受けたが、結果は陰性であった。2014年5月、CDCは米国内での2件のMERSの症例を確定した。1件はインディアナ州、もう1件はフロリダ州でのことであり、いずれの症例も、サウジアラビアに居住及び勤務していた医療従事者であった。両名ともサウジアラビアから米国に渡航してきたが、彼らはサウジアラビアで感染したと考えられている。2名は米国内で入院し、完治した後に退院した。

ウイルスの背景知識

中東呼吸器症候群(MERS)は、ヒトにとっては新種のウイルス性呼吸器疾患である。MERSは2012年にサウジアラビアにおいて初めて報告された。MERSの原因となるウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)と呼ばれる。コロナウイルスは、大部分の人々が一生のうちでいつかは感染する、ありふれたウイルスである。ヒトコロナウイルスは通常、軽度から中程度の上気道疾患を引き起こす。しかし、MERSコロナウイルスは、過去に人間において発見された他のコロナウイルスのいずれとも異なっている。

MERSコロナウイルスは、アラビア半島の動物起源であった可能性が高い。研究者は、数カ国でラクダからMERSコロナウイルスを発見してきた。CDCは、ラクダがウイルス源であるかどうかについては把握していない。ラクダの感染症がMERSコロナウイルスへのヒトの感染に関与し得るという根拠を示すための研究が続いている。しかし、より多くの情報が必要である。

MERSの症状

一部の感染者は軽度の症状を現したか、または全く症状を現さなかったが、大部分のMERSコロナウイルス感染者は重度の呼吸器疾患にかかり、発熱、咳、及び息切れを呈した。下痢や、むかつき・吐き気などの消化器症状、腎不全を呈したという報告も一部の人々からあった。MERSは死に至ることさえあり、多くの人々が亡くなっている。

MERSの拡大経路

MERSコロナウイルスは、咳などの気道分泌物を介して感染者から他の人々へ広まると考えられている。米国以外においては、例えば感染者の介護または感染者との共同生活などの濃厚な接触を通じて、人から人へと広まっていった。

呼吸疾患の予防法

現在、MERSコロナウイルスの感染を予防するワクチンは存在しない。CDCは米国人に、習慣的に以下の予防策をとることで呼吸疾患から自らを守るよう呼び掛けている。

・頻繁に手を洗うこと

・病気の人間との濃厚な接触を避けること

・手洗いをせずに眼、鼻、及び口を触らないこと

・頻繁に触れる場所を消毒すること

MERSと渡航

CDCは、米国人に対して、MERSを理由として大韓民国または他の国々への渡航計画を変更するように勧告しているわけではない。

CDCは、いかなる人々に対してもMERSを理由としてその渡航計画を変更するように勧告しているわけではない。現在のアラビア半島またはその近辺の国々へのCDCの渡航情報は、警戒警報(レベル2)であり、これは渡航者に特別な予防措置を促すものである。MERSの拡大は医療現場において起こっているため、この警戒警報は、医療サービスを提供するためにアラビア半島またはその近辺の国々へ向かう渡航者に、確定症例または疑い症例の感染予防管理についてのCDCの勧告を実践し、自分たちの健康状態について注意深く監視することを呼び掛けている。その他の理由で当該地域を訪れる旅行者には、手洗いや病気の人との接触を避けることなど、一般的な予防措置を行うよう呼び掛けている。更なる情報は、アラビア半島のMERSを参照されたい。

CDCはまた、大韓民国についても、通常通りの予防措置をとるよう渡航者に注意喚起する、注意報(レベル1)を発している。更なる情報は、大韓民国のMERSを参照されたい。

国ごとの症例及び死亡者の情報については、世界保健機関(WHO)を参照されたい。

米国のMERSについての詳しい情報はこちらから。

中村節子

中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)

米国では、2014年5月以降、中東呼吸器症候群(MERS)の感染例は報告されていません。米国内で一般の人がMERSに感染するリスクは、依然として非常に低い状態にあります。米国疾病管理予防センター(CDC)、及び、他の保健関連機関は、継続してMERSの状況を注視しています。

2012年、アラビア半島において初めてMERSの発生が確認されて以降、CDCは、ウイルスがどのように人に影響を与え、また、どのように蔓延するのか等、ウイルスの特徴をより理解するために、世界の関連機関と協力しています。我々は、米国及び全世界にMERSコロナウイルス(MERS-CoV)が更に蔓延し、感染例を増加させる可能性があると認識しています。また、このような事態に備えて対策を講じています。(詳細はこちらへ)

米国におけるMERS

2015年5月以降、韓国は、MERS感染の発生・拡大の調査を行っています。韓国は、アラビア半島以外の地域では最大規模のMERS感染拡大国です。

CDCは、米国民がMERSを理由に韓国や他国への渡航計画を変更することまでは勧告しません。(詳細はこちらへ)

米国においては、MERSコロナウイルス(MERS-CoV)の感染検査で陽性反応が出た患者はわずか2名であり、いずれも2014年5月に確認されました。一方で、500名以上が陰性でした。2014年5月、CDCは、米国においてMERS感染例を2例確認しました。1例はインディアナ州、もう1例はフロリダ州で確認されました。いずれもサウジアラビアに在住し、勤務していた医療従事者で、感染したとされるサウジアラビアから米国に渡航しました。その後、米国内の病院に入院し、完治後に退院しました。

ウイルスの知識

中東呼吸器症候群(MERS)は、ヒトにとって新種のウイルス性呼吸器疾患です。MERSは、2012年、サウジアラビアで初めて報告されました。MERSを引き起こすウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)と呼ばれます。コロナウイルスは、ほとんどの人が一生の間にいつかは感染する一般によくみられるウイルスです。ヒト・コロナウイルスは、通常、軽度~中等度の上気道疾患を引き起こします。しかし、MERSコロナウイルス(MERS-CoV)は、過去に人から見つかった他のどのコロナウイルスとも異なります。

MERSコロナウイルス(MERS-CoV)は、アラビア半島に生息する動物が感染源となって発生しているようです。研究者たちは、数か国において、生息するラクダからMERSコロナウイルス(MERS-CoV)を発見しました。ラクダがウイルスの起源であるかどうかはわかりません。MERSコロナウイルス(MERS-CoV)のヒトへの感染にラクダが関与しているという証拠を示すための研究が続けられています。しかし、さらに多くの情報が必要です。

MERSの症状

感染者の中には、軽度もしくは全く症状のでなかった人もいます。しかし、MERSコロナウイルス(MERS-CoV)感染者のほとんどが重症呼吸器疾患を発症し、発熱、せき、息切れの症状がでました。他には、下痢、吐き気・嘔吐などの消化器症状や腎不全が報告されています。MERSは、死に至ることもあります。これまでに多くの人々が死亡しています。

MERSの感染経路

MERSコロナウイルス(MERS-CoV)は、咳嗽などの呼吸器分泌物によって感染者から他の人へと感染の連鎖が起きているものと思われます。他国では、介護者や同居人などが感染者と濃厚に接触したことによりウイルスがヒトからヒトへ感染しました。

呼吸器疾患から身を守る

現時点において、MERSコロナウイルス(MERS-CoV)感染を予防するワクチンはありません。CDCは、米国民に対し、呼吸器疾患から身を守る方法として日頃から以下の予防法を実行していただくよう提案いたします。

・頻繁に手を洗う
・症状のある人との濃厚な接触を避ける
・洗っていない手で目、鼻、口を触らない
・頻繁に接触する環境表面(ドアノブなど)を消毒する

MERSと渡航

CDCは、MERSを理由に渡航計画を変更することまでは勧告しません。アラビア半島又はその周辺諸国に対する現時点でのCDCの渡航注意情報は、「警戒態勢(レベル2)」です。これは、渡航者に特別な予防措置が必要であることを示しています。

MERSが医療の現場で蔓延しているため、「警戒態勢」は、アラビア半島又はその周辺諸国へ渡航する医療従事者に、CDCが推奨する「確認例」または「疑い例」に対する感染予防を行い、健康状態を注視することを推奨するものです。他の理由でこれらの地域へ渡航される方は、手洗い、症状のある人との接触を避けるといった通常の予防措置をとってください。詳しくは、「アラビア半島におけるMERS」を参照ください。

CDCは、韓国への渡航注意情報を「注意(レベル1)」に指定しました。これは、渡航者に通常の予防措置を促すものです。詳しくは、「韓国におけるMERS」を参照ください。

国別の感染例及び死亡者数に関する情報は、世界保健機関(WHO)のウエブサイトをご覧ください。

「米国におけるMERS」については、こちらを参照ください。

儀保 千絵佳(第2位)

中東呼吸器症候群(MERS)

2014年5月以降、アメリカ合衆国ではMERSの症例は報告されていません。本邦における一般大衆に対するMERSのリスクは、非常に低い状態にとどまっています。米国疾病対策センター(CDC)及び他の公的保健機関は、引き続き厳重にMERSの情勢を監視しています。

2012年にアラビア半島で初めてMERSが発生して以来、CDCは国際的な機関と協力し、ウイルスが人々にどのように影響を及ぼし、どう感染が拡大していくのか、といったウイルスの性質のさらなる理解に努めてきました。MERSコロナウイルス(MERS-CoV)は、アメリカ合衆国国内だけでなく世界的にさらに感染が拡大し、多くの症例が発生する可能性があることがわかっており、CDCはそうした事態に備えて様々な対策を取っています。詳しくはこちらから。

アメリカ合衆国国内でのMERS発生状況

大韓民国は、2015年5月からMERSのアウトブレイクを調査しています。このアウトブレイクは、アラビア半島以外の地域で確認された最大規模のMERSのアウトブレイクです。

CDCはアメリカ国民がMERSを理由として、大韓民国や他国への渡航予定を変更することを勧めていません。詳しくはこちらから。

これまでにアメリカ合衆国国内でMERS-CoV感染の陽性反応が出たのは、わずか2人だけで、両患者とも2014年5月に判明しました。一方で、500人以上には陰性反応が出ています。CDCは、2014年5月にアメリカ合衆国国内で2つのMERS症例を、それぞれインディアナ州とフロリダ州で確認しました。両患者とも、サウジアラビアに住み、現地で働いていた医療従事者の一員でした。両患者はサウジアラビアからアメリカ合衆国へ渡航しており、サウジアラビアで感染したと考えられています。両患者ともアメリカ合衆国国内で入院し、その後、完治した後に退院しました。

ウイルスに関する情報

中東呼吸器症候群(MERS)は、ヒトでは確認されたことがなかったウイルス性呼吸器疾患です。2012年にサウジアラビアで初めて報告されました。MERSを引き起こすウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)と呼ばれています。コロナウイルスは、ほとんどの人が一生のうちに一度は感染する一般的なウイルスです。ヒトコロナウイルスは通常、軽度から中等度の上気道疾患を引き起こします。しかしMERS-CoVは、これまでにヒトから発見された他のコロナウイルスとは異なるウイルスです。

MERS-CoVはアラビア半島の動物感染源から発生したとみられています。研究により、数か国のラクダからMERS-CoVが見つかっていますが、ラクダがウイルスの感染源であるかどうかはわかっていません。ラクダ間での感染が、ヒトへのMERS-CoV感染の要因になっているのではないか、という説を支持する研究結果が次々と出ています。しかし、より多くの情報が必要です。

MERSの症状

一部の感染者では軽度の症状が出たり、まったく症状の出ない人もいますが、ほとんどのMERS-CoV感染者が重度の呼吸器疾患を発症し、発熱や咳、息切れの症状が出ています。他には下痢や吐き気・嘔吐などの胃腸症状、又は腎不全を発症したという報告もあります。MERSは致死的になることさえあり、多くの感染者が死亡しています。

MERSの感染経路

MERS-CoVは咳などの呼吸器分泌物を介して、感染者から周囲の人に広がっていくと考えられています。他国では感染者の看護や感染者と同居するなど、濃厚接触によりウイルスが人から人へ感染しています。

呼吸器疾患の予防

現在のところ、MERS-CoV感染を防ぐワクチンはありません。CDCは下記の方法で呼吸器疾患を予防するよう、アメリカ国民に常時、注意を促しています。

・こまめに手を洗う。
・病気の人との濃厚接触を避ける。
・洗っていない手で目や鼻、口を触らないようにする。
・人が触れたところを頻繁に消毒する。

MERS関連の渡航情報

CDCは、MERSを理由として渡航予定を変更することを勧めていません。アラビア半島や、その周辺に対する現在のCDC渡航情報は警戒(レベル2)で、これは渡航者へ特別な予防策を呼びかけるものです。MERSの感染拡大は医療現場で起きたことから、この警戒情報では、医療を提供するためにアラビア半島の国やその周辺国へ向かう渡航者に対し、感染が確認又は疑われる症例の感染予防に関するCDCの推奨事項を実行し、自分自身の健康状態によく注意するよう呼びかけています。その他の理由で当該地域へ向かう渡航者に対しては、手洗いや病気の人との接触を避けるなど、標準予防策に従うよう注意を呼びかけています。アラビア半島におけるMERSの状況に関する詳しい情報はこちらを参照。

また、CDCは大韓民国への渡航に関し注意(レベル1)の渡航情報を発表し、渡航者へ通常の予防策を実行するよう注意を呼びかけています。大韓民国におけるMERSの状況に関する詳しい情報はこちらを参照。

国ごとの症例や死亡例に関する情報については、世界保健機関(WHO)のサイトにアクセスして下さい。

アメリカ合衆国におけるMERSの状況に関する詳しい情報はこちらから。

今村絵里 (第1位)

中東呼吸器症候群(MERS)

米国では、2014年5月以降、MERS患者は発生していません。米国内において、一般市民がMERSに感染する危険性は極めて低い状況です。米疾病対策センター(CDC)は、他の保健機関と連携し、MERSの状況を引き続き注視していきます。

MERSが2012年にアラビア半島で初めて発生して以来、CDCは世界各地の関係機関と協力し、MERSコロナウイルスがもたらす症状や感染経路など、ウイルスの特性解明に努めています。MERSコロナウイルスが今後さらに広がり、米国や世界各国で感染が拡大する恐れもあるため、当センターは予め様々な対策を講じています。詳細についてはこちらをご参照ください。

米国におけるMERSの状況

2015年5月以降、大韓民国ではMERSの発生を受けた調査が行われています。大韓民国の事例は、アラビア半島以外で起きたMERSの発生例としてはこれまでで最大規模のものです。

CDCでは米国民に対し、MERSを理由に大韓民国あるいは他国への渡航計画を変更することは勧告していません。詳細はこちら。

米国では、MERSコロナウイルスの感染検査の結果、陽性と判明したのはこれまでにわずか2人で、どちらも2014年5月に診断を受けています。一方、検査の結果陰性と判明したのは500人以上に上ります。2014年5月、CDCは米国(インディアナ州及びフロリダ州)において、MERSへの感染例2件を確認しました。どちらも感染者は、サウジアラビア在住の医療従事者でした。2人はサウジアラビアから米国へ渡航しており、サウジアラビアでMERSに感染したとみられています。ともに国内の病院に入院しましたが、その後全快し退院しました。

MERSコロナウイルスとは

中東呼吸器症候群(MERS)は、新型のウイルス性呼吸器疾患です。2012年、サウジアラビアにおいて最初の症例が報告されました。MERSの原因となるウイルスは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERSコロナウイルス)と呼ばれています。コロナウイルス自体は、大部分の人が一生に一度は感染する一般的なウイルスです。通常、ヒトに感染するタイプのコロナウイルスは、軽度~中等度の上気道疾患を引き起こします。しかし、MERSコロナウイルスは、これまでにヒトへの感染が確認されたどのコロナウイルスとも異なるものです。

MERSコロナウイルスは、アラビア半島に生息する動物が発生源であると考えられています。調査の結果、複数の国において、ラクダがMERSコロナウイルスを保有していることが明らかになりましたが、ラクダがウイルスの感染源であるかどうかはわかっていません。ヒトがMERSコロナウイルスに感染する際、ウイルスに感染しているラクダが何らかの役割を果たしている可能性を立証するため、現在も研究が続けられています。しかし、解明にはさらなる情報が必要です。

MERSの症状

MERSコロナウイルスに感染した人の中には、軽症であったり、症状が全く現れなかった人もいましたが、大部分は重篤な呼吸器疾患を発症しました。具体的には、発熱や咳、息切れといった症状が見られました。他にも、下痢、吐き気・嘔吐、腎不全などの消化器症状も報告されています。MERSは場合によっては死に至ることもあり、これまでに多くの人が亡くなっています。

MERSの感染経路

MERSコロナウイルスは、感染者が咳などをした際に放出される気道分泌物を通じて拡散すると考えられています。他国では、感染者の世話をしたり、居住を共にするといった濃厚接触により、人から人へとウイルスが広がりました。

呼吸器疾患から身を守る

現在、MERSコロナウイルスへの感染を予防するワクチンはありません。CDCは米国民に対し、呼吸器疾患から身を守るため、以下の呼びかけを行っています。

・こまめに手を洗う
・体調不良者との濃厚な接触を避ける
・洗っていない手で、目や鼻、口を触らないようにする
・多くの人が触れる場所を消毒する

MERSと旅行

CDCでは、MERSを理由に渡航計画を変更することは勧告していません。現在、アラビア半島及び周辺諸国への渡航に関し、CDCが発表している注意情報は「警戒(レベル2)」です。これは、渡航者に特別な注意を呼びかけるものです。これまで、MERSは医療現場で感染が拡大してきたため、医療に携わることを目的にアラビア半島及び周辺諸国へ渡航する人に対しては、感染が確定もしくは疑われる患者からの二次感染を制御するためCDCが推奨する対策を実施し、自身の体調に細心の注意を払うよう勧告しています。医療以外の目的で現地へ渡航する人に対しては、手洗いの励行や病人との接触を避けるといった、一般的な予防策を取るよう求めています。詳細については、アラビア半島におけるMERSの状況をご覧ください。

また、CDCは大韓民国に対しても「注意(レベル1)」とする渡航注意情報を出し、通常の予防策を怠らないよう渡航者に呼びかけています。詳細は、大韓民国におけるMERSの状況をご覧ください。

国別の感染例及び死亡例については、世界保健機関(WHO)のサイトをご参照ください。

米国におけるMERSの状況については、こちらをご確認ください。