幕末時代における陰の英雄:中井弘の旅行記(1866-67年)の英訳に挑む
○講師:エレノア・ロビンソン山口、愛知県立大学
○開催日:2014年9月21日(日)
○時間:14:30~16:00(講演終了後、交流会:17:00~20:00、会場:Manzana 地図)
○講演会場:山西福祉記念会館(地図)
○所在地:大阪市北区神山町11-12(大阪駅、梅田駅、扇町、天満駅から徒歩10分)
○電話番号:06-6315-1868
○参加費:SWET/JAT会員・・・1,000円 / 非会員・・・1,500円
交流会費:3,980円
○申し込み:9月18日(木)までに SWET または KAT まで、講演のみ、交流会のみ、両方参加のいずれかを明記のうえお申し込みください。
中井弘は薩摩藩を出た後の1866年、土佐藩の資金援助を得て、同藩士、結城幸安と共に横浜港から英国へ渡航。翌1867年、中井は帰国するやいなや、三菱財閥の創業者、岩崎弥太郎を訪ねて長崎に向かう。そこで彼は、坂本龍馬、後藤象二郎、中井の旅をサポートした英国商人、ウイリアム・J・ヲールトらと交流する。中井は、彼らに旅の経験を伝えただけでなく、旅日記に貴重な経験を記録していた。
今回の講演では、中井弘の旅日記の英訳の難しさについて考察する。この日記は、中井と同じような渡航を検討していたり、西洋に興味のある彼の友人や知人の為に1868年に出版され、その後1870年に一般の読者を対象に改めて出版された。ロビンソン山口氏は、京都大学の博士論文執筆にあたり、この第2版を英訳している。
普段は全く使わない古い日本の文章の意味を解き明かすために、まるで探偵のように1つ1つ「裏をとる」ような果てしない作業が続くなかで、何に悩まされたか、何に時間をとられたかを振り返る。日記には中井の漢文の素養が色濃く反映されているため、英訳作業は古い日本語と日本文化を学ぶ機会となっただけでなく、中国文学と中国文化の勉強にもなった。中井の旅日記を読み解くことは、すなわち中井というフィルターを通じて過去を垣間見ることに他ならない。彼の日記は、前人未到の西洋へと初めて旅立った勇敢な日本人の暮らしぶりの一端を今日の読者にも伝えるパワーを秘めている。この日記を英訳すること自体を、1つの旅に例えることもできよう。
講師略歴
1999年、シェフィールド大学東アジア学部日本語学科卒業。
1999-2002年、JETプログラムの一環として青森市役所国際交流推進課で国際交流員(CIR)として勤務。
2002年10月、京都大学大学院人間・環境学研究科入学。国際政治学者、中西輝政名誉教授の下で研究。
2009年、同大学院博士後期課程修了、同志社大学ビジネス研究科グローバルMBAスタッフとして勤務。
2010-2011年、大阪大学世界言語研究センター(RIWL)特任教員。
2011-2012年、神戸女子大学でTOEFLコース、立命館大学でTOEICコースの非常勤講師を担当しつつ、博士論文「Nakai Hiromu: Meiji Statesman and Hero of Anglo-Japanese Relations」を執筆。
2012年3月、京都大学で人間・環境学博士号取得
2012年4月、愛知県立大学外国語学部英米学科常勤講師就任。日英関係、イギリスの社会・文化、英語のコースを担当。
同氏ブログ:http://eleanorinjapan.wordpress.com
(このイベントはSWET Kansaiとの共同企画です。)