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審査員講評は近日中に公開予定です。

第1位 J78 舘山未来
第2位 J51 平野富士子

ファイナリスト
J33 Suzuki Saori
J39 倉田明日香  
J89 米田想森郎
J113 アダムソン充代

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J33 Suzuki Saori

ERIN LEGACKI――生殖生理学者/生物学者・材料測定研究所付属ホリングス海洋研究所

NISTのポストドクター、Erin Legackiは、かつて指導教授に言われた。「研究者の道はあきらめるんだね。君の成績じゃとうてい無理だ。どうしても動物に関わる仕事がしたいなら、保護施設にでも就職することだ」

彼女は新たな師と出会った。

これまでErinは、内分泌学つまりホルモン研究の分野で、ウマ、ハイエナ、クジラの研究をしてきた。そして現在はサーモンを研究している。NISTで彼女が調べているのは、米国農務省が管理する北米産アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)から採取した粘液の検体だ。この種(しゅ)の繁殖能力について、養殖業界や自然保護活動家たちの理解を促進し、測定の精度を高めるのが目的だ。

科学者を目指す学生へ、彼女からのメッセージはシンプルだ。「あきらめずに根気強く続けること」

どんな相手との仕事でも、何かしら学ぶべきことがある。Erinはそう固く信じている。おかげで最初の指導教授の言葉にもめげることなく、ずっと自分の道を追い求めて前進を続けてきた。そして今ではNISTの海洋研究チームにとって、とても貴重な存在だ。

ALEJANDRA COLLOPY――物理学者・物理測定研究所

NISTのポストドクターで物理学者のAlejandra Collopyは、原子と分子の世界、すなわち量子物理学の法則が働く世界の解明において進歩を遂げるチームの一員だ。量子物理学の知識を用いて、科学者たちは多くの技術を発明し、今日の経済社会におけるスマートフォンやコンピューター、インターネットなど、数多くのものを実現させてきた。新たな発見とその応用は、今なお続いている。

Alejandraのチームが最近行っているのは、量子論理分光法と呼ばれる技法での水素化カルシウム分子イオンの生成・トラップ(捕捉)・研究だ。うまくいけば基礎物理定数のさらなる高精度化を可能にする。そうなれば量子物理学への理解が深まり、ひいては宇宙に関する新たな洞察が得られるかもしれない。

原子イオンのトラップは、昨今の科学研究所では広く行われているものの、分子イオンについては比較的未知の領域だ。そのため新たな発見にむけて、Alejandraのチームは日々研究に研究を重ねている。

Alejandraは、昔から物事の仕組みに関心があり、スタンフォード大学で物理学の学位を取得した。その後、大学院へと進み、コロラド大学とNISTの共同研究所である宇宙物理学研究所連合(JILA)で中性分子を研究した。今では中性分子や分子イオンの研究において10年来の経験があり、NISTでの研究にも大きく貢献している。

彼女は現在、NISTの研究グループとともに量子物理学のもう一面である量子計算に取り組んでいる。今日の私たちには想像もつかないような有益なアプリケーションを生み出す、信頼性のある有用な量子計算を実行するビルディングブロック(基本要素)の改善に努めている。

J39 倉田明日香

ERIN LEGACKI、生殖生理学者生物学者。ホリングス臨海研究所の材料計測研究所所属

米国立標準技術研究所(NIST)の博士研究員Erin Legackiは、かつてある教授にこう言われました。「こんな成績では、君はきっとものにならない。動物にかかわる仕事をしたければ、動物保護施設に行くしかないだろう。」

その後、彼女は別の指導者の下に就きました。

Erinはこれまでのキャリアを通じて、ホルモンに関する学問である内分泌学の分野で、ウマやハイエナ、クジラを対象とする研究の機会に恵まれました。そして今はサケを対象とした研究をしています。NISTでの彼女は、米国農務省が保有する北米産タイセイヨウサケの粘液サンプルを用いた分析をしています。水産養殖業者や自然保護団体がこのタイセイヨウサケの繁殖能力について理解を深め、より高い精度で繁殖力を評価できるようにするためです。

科学者を志す人達に彼女が伝えたい教訓は、とにかく粘り強くやり続けることです。

Erinは、「仕事においては、われ以外みなわが師」という固い信条をもっています。最初の指導者の言うことを聞き流すことができたおかげで、Erinは前に進み続け、今やNISTの海洋研究チームにとって非常に重要な人材になっています。

Alejandra Collopy、物理学者。物理計測研究所所属

NISTの博士研究員で物理学者のAlejandra Collopyは、量子物理学の法則に基づく原子と分子の世界の解明を進める研究チームの一員です。量子物理学の知識によって、科学者たちはスマートフォンやコンピュータ、インターネットなど、今日の経済社会のさまざまなものに使われる技術を開発してきました。こうした科学技術の発見と応用は今なお続いています。

ここ最近、Alejandraたちのチームは量子論理分光法と呼ばれる手法を用いて、帯電した水素化カルシウム分子を生成、捕捉し分析しています。この研究によって、自然界の普遍定数をこれまでよりはるかに高い精度で求められるようになる可能性があります。それにより量子物理学の解明がさらに進み、森羅万象に対する新たな解釈が加わるかもしれません。

原子イオンの捕捉は今や多くの研究所で行われていますが、分子イオンの捕捉はそれに比べてまだわからないことの多い領域です。この発見の喜びを原動力にして、彼女のチームは日々研究に勤しんでいます。

万物の振る舞いについてずっと知りたいと思っていたAlejandraは、スタンフォード大学で物理学の学位を取得しました。その後、コロラド大学とNISTの共同研究所である宇宙物理学複合研究所(JILA)で中性分子についての研究を進めました。彼女の分子(中性分子および荷電分子)に関する研究は10年に及び、いまNISTでいっそう価値ある研究を続けています。

Alejandraは現在、量子計算という、量子研究の別の側面に取り組むNISTの研究者グループと協働しています。彼女の役割は信頼性の高い有用な量子計算を行うための基本要素を改良することで、今はまだ想像もできないような優れた応用技術を生み出すことを目指しています。

J89 米田想森郎

Erin Legackiさん

生殖生理学者、生殖生物学者

材料計測研究所内、ホリングス海洋研究所所属

NISTのポスドクであるErin Legackiさんは、ある教授からかつてこう言われたことがあります。「成績を見るに、あなたにたいしたことはできないでしょう。動物に関われる職場は動物保護施設くらいしかなさそうですね」

彼女は別の先生のもとにつきました。

内分泌学というホルモンを研究する分野で、Legackiさんはこれまでにウマやハイエナ、クジラを取り扱ってきました。そして目下の研究対象はサーモンです。NISTで彼女は、米国農務省が管理している北米産のアトランティックサーモンから採取した、粘液のサンプルを用いた研究をしています。養殖や保護活動に携わる人が、アトランティックサーモンの繁殖力を理解し、高い精度で測定しやすくするためです。

志の高いこれからの科学者に彼女が伝えたいのは、粘り強くやり続けよう、というシンプルなメッセージです。

周囲の人みんなから、何かしら学べるものがある。Legackiさんはこの確固たる信念に従って行動しています。最初の教授から言われたような言葉には耳を貸さない、持ち前の気質も手伝って、彼女は前を向いて進み、自分の道を追究し、NISTの海洋研究チームにとってとても貴重な存在になったのです。

Alejandra Collopyさん

物理学者

物理計測研究所所属

物理学者のAlejandra CollopyさんはNISTのポスドクで、所属する研究チームでは量子物理学の法則が働く領域、原子と分子の世界の解明を進めています。量子物理学から得られた知見によって発明された数々のテクノロジーは、現代の経済や社会にスマートフォンやコンピューター、インターネットをはじめ、たくさんのものをもたらしてきました。新たな発見やその実用化はまだ続いています。

直近ではCollopyさんのチームは、量子論理分光という手法を用いて、水素化カルシウムの分子イオンを生成、捕捉し、研究してきました。この研究は、自然界の普遍定数のいっそう精密な測定につながり、量子物理学への探究を深めて、世界への理解を新たにするきっかけになるでしょう。

原子イオンの捕捉は、自然科学系の研究所では最近よく行われていますが、分子イオンの捕捉はまだ未知の部分の多い領域です。新たな発見に向けた気持ちは、彼女のチームにとって研究を日々どんどん進めていくモチベーションになっています。

ものが動く仕組みを知りたい。ずっとそう思っていたCollopyさんは、スタンフォード大学で物理学の学位を取りました。大学院生になると、コロラド大学とNISTの合同研究所であるJILA(宇宙物理学研究所連合)で中性分子の研究をしました。現在、分子(中性分子と分子イオン)の研究を続けて10年になり、その蓄積はNISTでの彼女の研究の価値を大いに高めています。

Collopyさんは今、他のNISTの研究者たちと共に、量子研究の別の側面である量子コンピューティングの研究に取り組んでいます。この研究によって、量子コンピューターの基本的な構成要素が向上し、有用な演算を安定して行えるようになり、今日私たちが想像すらできないような便利な応用技術が生まれていくでしょう。

J113 アダムソン充代

ERIN LEGACKI、生殖生理学者/生殖生物学者(材料計測研究所提携のホリングス海洋研究所)

NIST(アメリカ国立標準技術研究所)の博士研究員であるErin Legackiは、ある教授から、「あなたの成績では大成しないでしょう。動物相手に仕事をするつもりなら、動物保護施設で働くことが唯一の道です」と告げられたことがありました。

Erinは指導教員を変えました。

職務の中でErinは、これまでにウマ、ハイエナ、クジラ、そして現在はサケについて、内分泌学(ホルモンの研究)の分野において研究する機会を得てきました。NISTで、米国農務省が貯蔵する北米のタイセイヨウサケの粘液試料を用いて研究を行い、養殖業および自然保護活動家がこの種の繁殖能力を理解して、詳しく評価するための助けとなっています。

科学者を志す人たちへ彼女が伝えたいことは、粘り強く続けること、これだけです。

Erinは、共に研究する人たち皆が先生である、という確たる信念に従っています。加えて、備え持つ性質のおかげで最初の指導教員の発言を聞き流すことができたので、Erinは前進し、彼女なりの道を追い続けてきました。そうして今では、海洋研究におけるNISTチームの貴重な人材となりました。

ALEJANDRA COLLOPY、物理学者(物理計測研究所)

NISTの博士研究員および物理学者であるAlejandra Collopyは、量子物理学の法則に従って動く世界である、原子と分子の世界の理解において進歩を遂げるチームの一員です。量子物理学の知識を用いることで、科学者たちはこれまでに、スマートフォン、コンピュータ、インターネット、その他非常に多くのものを現代の経済と社会で利用可能にするテクノロジーを、開発することができました。こうしたテクノロジーの発見と応用は今も続いています。

ごく最近では、Alejandraと彼女のチームは、量子論理分光と呼ばれる技術を使って、荷電した水素化カルシウム分子を生成、捕獲し、研究しています。この研究によって、物質の基礎定数をより細かく計測することができるようになる可能性があり、量子物理学の理解を深め、森羅万象に潜む新たな知見を得るかもしれません。

原子イオンの捕獲は、科学研究所で現在広く実施されていますが、分子イオンを捕獲することは、今も比較的未踏の領域です。これを発見しようという気持ちが、日々研究を深めることに向けてAlejandraのチームを盛り上げています。

Alejandraは、物事の仕組みについて知りたいと常に考えていたので、スタンフォード大学で物理学の学位を取得しました。その後は、コロラド大学とNISTの合同研究所[JILA(宇宙物理学研究所連合)]で、中性分子に関する大学院の研究を継続しました。現在Alejandraは、10年分の研究に値する分子(中性および荷電)の知識を有しており、NISTでの彼女の研究の価値を高めています。

Alejandraは今、NISTの研究者グループと共に、量子計算という、量子研究の別の領域に取り組んでいます。信頼性が高く有用な量子計算を行って、今日では想像もつかないような価値あるアプリケーションを生み出すために、彼女の研究によって構成単位が改良されています。

第2位 J51 平野富士子

ERIN LEGACKI 材料測定研究所パートナー・ホリングス臨海研究所 生殖生理学者/生殖生物学者

NISTポスドク研究員(博士研究員)Erin Legackiはかつて、ある教授から言われた。「この成績では、大した学者にはなれないだろう。動物を扱う仕事をするなら、せいぜいアニマルシェルターくらいだ」

彼女は新たな指導者についた。

研究者となって以来、Erinが内分泌学というホルモン研究の分野で対象にしてきたのは馬、ハイエナ、クジラ、そして今はサーモンである。NISTでは米農務省が保有する北米産アトランティックサーモンから採取した粘液サンプルを使って、水産養殖業界や自然保護活動家らがこのサーモンの繁殖力を把握し、より適切に測定できるよう取り組んでいる。

科学者を目指す人に彼女がおくるメッセージは、ただ「あきらめないこと」。

Erinには、一緒に働く誰からも教わることがある、というモットーがあり、その信念を守っている。また、最初の指導者の言葉を聞き流すことができたおかげで、彼女は前へ進み、自分の道を追求し、そしてNISTの海洋生物研究チームにとって大きな戦力となっている。

ALEJANDRA COLLOPY 物理測定研究所 物理学者

NISTポスドク研究員で物理学者のAlejandra Collopyは、原子と分子の世界、すなわち量子物理学の法則によって動く世界に関する理解に進歩をもたらしているチームの一員である。量子物理学の知識を持つ科学者らは、今日の経済社会でスマートフォンやコンピューター、インターネットなど多くのことを可能にする技術の考案に成功しており、こうした発見、応用はなおも続いている。

最近では、Alejandraとチームは量子論理分光法という技術で、荷電水素化カルシウム分子の生成、トラップ、研究を行っている。これにより自然界の基礎物理定数をより正確に計測できる可能性があり、そうなれば量子物理学への理解が進み、森羅万象に対する新たな知見が得られるかもしれない。

原子イオンのトラップは近頃、科学研究所で広く行われているが、分子イオンに対してはまだまだ未知の領域である。何かを発見するというこの思いが、さらなる研究に向かって彼女のチームを日々奮い立たせている。

かねてから物事の仕組みを知りたいと思っていたAlejandraは、スタンフォード大学で物理学の学位を取得した。その後、コロラド大学・NIST共同研究所(JILA:宇宙物理学複合研究所)で中性分子について大学院研究を続け、今では分子(中性分子および荷電分子)に関して10年分の知識を重ねて、NISTで自身が携わる研究の価値を大きく高めている。

現在AlejandraはNISTの研究者グループとともに、量子研究のもうひとつの側面である量子コンピューティングに取り組んでいる。彼女の研究は、今は想像すらできない有益な用途を生み出すような信頼性、有用性のある量子計算をするためのビルディング・ブロックを進歩させている。

第1位 J78 舘山未来

ERIN LEGACKI、生殖生理学者/生物学者、材料計測研究所のホリングス海洋研究室

NISTの博士研究員であるErin Legackiは、かつてある教授にこう言われました。「成績を見るに、君は大成しないだろうね。動物と関わる仕事がしたかったら、保護施設で働くしかないよ」

彼女は別の教授につきました。

これまでのキャリアの中で、Erinは内分泌学、すなわちホルモンの研究の分野における、馬やハイエナ、クジラの研究に携わり、現在ではサケの研究を行っています。NISTで米国農務省が貯蔵する北米大西洋産サケの粘液のサンプルを研究する彼女は、養殖業界の人々や自然保護活動家たちがその種の生殖能力を理解し、より正確に計測するための手助けをしているのです。

これから科学者を目指す人々に向けた彼女のメッセージは、「とにかく諦めないこと」です。

Erinは「仕事を共にする人は皆、自分に何かしら教えてくれる」という確固たる信念に従っています。とはいえ、最初の教授の言葉を聞き流すことができたおかげで、Erinは前に突き進み、自分の道を追求し、NISTの海洋研究チームにとって素晴らしい人材となったのです。

ALEJANDRA COLLOPY、物理学者、物理計測研究所

NISTの博士研究員で物理学者のAlejandra Collopyは、量子物理学の法則に従って動く、原子と分子の世界の解明を進めるチームの一員です。量子物理学の知識をもとにこれまで科学者たちが発明してきた技術は、スマートフォンやコンピューター、インターネットをはじめとする多くのものを今日の経済や社会にもたらしました。そして、発見や応用は今なお続いています。

Alejandraと彼女のチームが直近で取り組んできたのは、量子論理分光法と呼ばれる手法を用いて、荷電した水素化カルシウム分子を生成、捕捉し分析することです。この研究によって自然界の基礎定数の計測精度がさらに向上すれば、量子物理学の理解が深まり、宇宙に対する新たな知見が得られるかもしれません。

原子イオンの捕捉は昨今の科学研究所で広く行われていますが、分子イオンの捕捉は現在も比較的未知の領域です。こうした発見の感覚は、彼女のチームを日々更なる研究に駆り立てています。

かねてから物事の仕組みに興味があったAlejandraは、スタンフォード大学で物理学の学位を取得した後、コロラド大学とNISTの合同研究機関(JILA)の大学院課程に進み、中性分子の研究を行いました。現在、彼女は分子(中性と荷電)に関して10年に及ぶ経験を有し、NISTにおける自身の研究に大きな付加価値を与えています。

Alejandraは現在、NISTの研究者グループとともに、量子研究のもう一つの側面である量子コンピューティングに取り組んでいます。彼女の研究は、信頼性のある有用な量子計算を行うための構成要素を改良しています。このような量子計算は、今日の私たちには想像もつかない有益な応用をもたらすでしょう。